
最近、自分の演奏情報じゃなくて人の演奏聞いた感想ばっかり載せてます。
このままではいけませんね…
それはさておきピアニスト吉田裕文さんのコンサートを聞きに姫路のキャスパホールまで行ってきました。
当日のプログラム
ハンガリー狂詩曲 第10番「前奏曲」
ラ・カンパネラ
コンソレーション第3番
ハンガリー狂詩曲 第2番
二つの伝説
小鳥に説教をするアッシジの聖フランチェスコ
波の上を歩くパオラの聖フランチェスコ
愛の夢 第3番
ます
献呈
今年はリスト生誕200年という区切りの年ということもありプログラムはオールリスト。
リストイヤーの締めくくりに相応しいプログラムになっています。
吉田さんの独奏の演奏を初めて聴いたのは東高60周年記念コンサートの時で、その時はハンガリー狂詩曲 第2番と愛の夢を弾かれていました。あと毎年パルナソスで行なわれている上田晴子ピアノスクールでもリストの曲を何曲か弾かれており、リストイヤーということを除いてもこの作曲家には何か特別の思い入れがあるんだろうなと思いました。
色々な機会で聞いた事のある曲が並んでいましたが、ソロリサイタルという一人での舞台を聞くのは今回が初めて。どのような舞台を作るのかとても楽しみにしていました。
舞台上の吉田さんは非常に余裕がある様に感じられました。リストの音の洪水に飲み込まれる事無く、鮮やかに音をコントロールしている様に見えます。コンサートに向けて研ぎすまされていた成果か、音がいつにも増してカッコ良かったです。一緒に並ぶと分かるのですが吉田さんはものすごいガッチリした体格をしていて打鍵が非常に力強い、でも粗いということはなく音の中に力強さと品の良さがバランスよく備わっている感じです。キラキラとした輝かしい音が会場に振りまかれていました。
ご本人は最近になってようやく技術的な問題に振り回されずに音楽に取り組める様になってきたと仰っていました、この辺りは長年上田晴子氏に師事を受けてきた成果が上がっているのでしょうね。こういう言い方をするのはなんですけど聞くたびに安定感が増して上手くなっておられる気がします。年齢を重ねる度に新しい発見を積み重ねて道を進んでいく姿というのは見ていてとても励みになります。
プログラムは前半が特に面白く聞けました。後半も良かったのですが、あまりにキレイなタイプの曲が並んでしまったのでちょっとうとうとしてしまいました…申し訳ない。アンコールに弾いた魔王みたいな曲が途中に入ってたらアクセントになって良かったかなと思いました。
しかしピアニストの薬指と小指はスゴいな〜あれ見てたらギタリストの指の鍛え方はまだまだ足らないですね、

大阪駅前第二ビル内にある音楽専門の書店です。海外からのマニアックな楽譜も揃っており、関西の音楽家の方なら一度は訪れたことがあるのではないでしょうか。ギターの楽譜の品揃えも中々マニアックで質も量もかなりのものです。

この日購入した楽譜たち、アンサンブルが二冊とソロが二冊。
アンサンブルはギターとフルートのためのラテン作品集。ポルウナカベーサとタンティアンニプリマに惹かれて買いました。色々と使い勝手が良さそうな楽譜です。
もう一つは定番のピアソラ タンゴの歴史。ギターのパート譜しかなかったのでこの機会に買う事にしました。
ソロは藤井敬吾さんの"羽衣伝説"とバッハの無伴奏ヴァイオリンパルティータ集。
バッハの楽譜はフィンランドのティモ・コルホーネンが監修したモノです。本当はソナタの方の楽譜が欲しかったのですが見つからず…ただコルホーネンの演奏したパルティータのCDもついていて3000円は中々お買い得。
帰りにPia Julienによってピアノの青井彰さんのライブを聞いてきました。

店の奥の席に飾られた絵は青井さんの演奏している姿を描いた物です。
演奏している姿が瓜二つでビックリしました。
シューベルトの最後のピアノソナタ、初めて聞くリストのピアノソナタ、そしてアンコールにベートーベンのピアノソナタ30番!?アンコールにこんなヘビーな作品は初めて聞きました。
圧倒的な存在感のピアノの音をたっぷりと堪能してきました。一度ちゃんとしたホールで演奏を聴いてみたい方です。

静閑な住宅街にポツンとある音楽ホール。写真には写ってませんが背後には紅葉を迎えた京都の美しい山々が広がっています。大きさも響きもギターを聞くのにピッタリな素晴らしいホール。
京都の上桂という場所にあるんですが、実はこの近くで産まれて幼少期を過ごしてたはずです。三歳ぐらいまでだったのであまり記憶が残ってませんが…

深紅のカッコいいプログラム。演奏者の渡部さんは今年60を迎えます。
将来を嘱望される若手ギタリストとして帰国後、原因不明の指の故障により演奏活動の中断を余儀なくされ20数年、手術により演奏が再開出来る様になって6年、ようやくここまで辿り着いたと仰っていましたがその道のりの厳しさは想像するに余りあります。
美山の音楽祭で一度、渡部さんに音楽を諦めようと思った事は無かったのか?と伺った事があります。仮に自分がそのような状況におかれた場合、間違いなく断念してしまうだろうと思ったからなのですが、渡部さんの答えは”一度も無い”という力強いものでした。
その音楽への情熱が美山の音楽祭になり、多くの若者を育て、そして演奏家として新しく生まれ変わる原動力となったのでした。
プログラム
Ⅰ.ルネサンスとバロックの音楽
ルイス・デ・ミラン 六つのパヴァーヌ
ジョン・ダウランド ファンタジア
ジローラモ・フレスコバルディ アリアと変奏
ヨハン・セバスティアン・バッハ プレリュード・フーガ・アレグロ
休憩
Ⅱ.ソルを讃えて
フェルナンド・ソル 五つの小品
静けさ(カプリス)
ワルツ
マズルカ
狩
ロンド
マヌエル・マリア・ポンセ ソナタ・クラシカ(F・ソル讃)
Ⅲ.セファルディの歌
五月にばらは咲く
おいで、愛しいひと
さようなら、愛する人
ねんねんころり
美しい鳥(ことばあそび唄)
開けて!ぺっぴんさん。
お母さん、私、行くわ!
囚人船がやって来た!
雰囲気に恋しちゃった。
渡部さんが留学時代に師事していたオスカー・ギリアの影響を強く感じさせるプログラムです。
ところどころ傷はありましたが、長年弾いて温めてきたプログラムだけあって、強い意志と説得力を感じさせる演奏でした。前半のパヴァーヌ、アリアと変奏、後半のソルの小品集とセファルディの歌が特に良かったです。
特にソルはカプリス以外は聞いた事無かったのですが、どれもとても面白い作品でした。さっそく家に帰ってから楽譜を探して練習してます。
セファルディの歌もこれまた初めて聞きますが、前半のミランの様なシンプルさの中に深い喜びや悲しみが詰まった好演でした。ギターの伴奏はこれ以上ないというシンプルなものでしたが存在感は抜群で、とても勉強になりました。
渡部さんはイタリアでのキジアーナでの体験を元に日本でもあのような音楽祭を開けないかと思い立ち、美山で今まで四回もの音楽祭を主催してきました。私も受講生として音楽祭に参加してきましたが、そこでの濃密なレッスンや体験、仲間たちとの交流はとても得難い物でそれなしに今の自分は存在し得ないと言い切っても過言ではありません。自分の殻を打ち破る貴重な場を提供して頂き、いくら感謝してもし足りる事はありません。
その事に改めて感謝の念を送りつつ、この日演奏家として新しく生まれ変わった渡部さんの活動がこれからも末永くそして広く広く浸透していく事を祈念して止みません。