人気ブログランキング |

カテゴリ:おんきち( 148 )

渡部延男先生に寄せて

渡部先生の訃報を聞いてからもう10日以上が経つのだけれど、どうしても現実味が湧かずにこの期間を過ごしてきました。昨日、お別れ会に参加して懐かしい顔に久しぶりに会い、そしてスクリーンに映る渡部先生のお顔、そして声を聞いてようやく現実の事だと思い知り、早春譜を弾く間、悲しみの感情が溢れてきました。

渡部先生に初めてお会いしたのは第一回の美山ギター音楽祭の時。髪はなくてもイケメンな方で今となってはそれが本当に羨ましいのですが、それはさておき。

キラキラと輝く目がとても印象的な方でした。時にそれは幼い子供のような輝きにも見えたし、時には奥に潜む炎が抑えきれずに溢れてきているようにも見えました。純粋さが様々な形をとって現れてきているようで、少し近寄りがたかったという印象も残っています。

渡部先生はジストニアという病気を患い、一時音楽活動を離れている時がありました。音楽祭の時に一度だけ
”音楽を諦めようと思ったことはなかったのか?”
と聞いたことがあります。渡部先生は
”一度もない。”
とおっしゃったように覚えています。

将来を嘱望され、本人も音楽で生きると当然のように考えていた方の腕が急に動かなくなり、音楽を取り上げられる。それでも20年間、決して音楽を諦めることなく復活を果たす…

言葉にすれば美しく、ただスゴいことなのだと当時はよくも考えもせずに思いましたが、そんな生易しいものでは決して無かったはず。今となればその復活までの20年という途方も無い時間、渡部先生がどのような想いで過ごしてきたのかと思うととても言葉になりません。うちに秘めた炎が自分や周囲を焼け焦がした時間も少なからずあったはずだと思います。

そこからどのような考えを経て音楽を続けて来られたのか、そしてどのように美山ギター音楽祭に辿り着いたのか。

昨日のお別れの会の最後に茨木ギターフェスティバルでの渡部先生の演奏が流れました。手術によりジストニアを一時的に克服した時期の演奏です。曲目はポンセのソナタクラシカ。正直に言うとポンセのソナタの中ではあまり好きな曲目ではなかったのですが、その演奏を聴いてこんなにいい曲だったのかと驚かされました。録音状態が良かった訳ではないですが、銘器ハウザーを鳴らし切り、輝く様な音楽が隅々まで満たされているのがはっきりと伝わってきて

”この方の事を本当に理解出来てはいなかったんだな”

と思いました、聴く機会はいくらでもあったはずなのですが。

4回の美山音楽祭に参加して、マスタークラスで四苦八苦している姿を全部見られて、その後ありがたい事に何度かコンサートを見に来てくれる機会がありました。その中には正直いまいちな演奏もありましたし、逆にとても上手くいったという機会もありました。渡部先生の音、言葉をもう聴く機会は無いのですが、自分の良いところ、悪いところも全部聴いてもらえたんじゃないかという自負はあります。だから
”全てを聴いて下さって、ありがとうございました”
とお礼を言えました。

思えば美山には渡部先生がいて、そこに松村さんもいて、グロンドーナがいて、と絶えず尋常ではない熱が溢れていました。

渡部先生に
”美山がなければ今の自分はなかった。”と伝えたら
”それを聴けて続けてきて良かった”
と喜んで頂けました。

別れ際の握手がとても力強い方でした。
”これがヨーロッパのスタイルやねん!”
と茶目っ気たっぷりに。

美山の熱に温められそして救われた一人としてどうやって後世に伝えて行くか。これからの大きな課題を残された様な気がします。
ご冥福をお祈りします。
渡部延男先生に寄せて_d0077106_22514610.jpg

by onkichi-yu-chi | 2020-01-26 22:51 | おんきち | Comments(0)
第29回ストリングコンサート終了!_d0077106_00353240.jpg


ストリングコンサート、無事に終了しました。ギター教室が今年取り組んだ”ボヘミアンラプソディー”は今まで取り組んだ曲の中で一番完成度が危ない出来でした。なにせ当日までまともに通った感じがありません…

リハーサル時にも各パートがそれぞれボロボロでこりゃ本番どうなるものやらと思いましたが、本番までの時間でのみなさんの追い込みと土壇場での開き直り(この辺りは先生譲りだと思われます。)が功をそうして、贔屓目無しに本番が一番いい出来という結果を見事に呼び込みました。勿論アラはいっぱいあるんですけど、本番が一番音楽を楽しめていたようで終演後みんなが笑顔でした。それがとても嬉しいです。

全体合奏での指揮、今年は四回目を迎えましたがようやく指揮ってこんな感じなのかなという感覚を少しだけ味わえました。瞬間、演奏者の意思が一つに纏まった様な感覚とその時の音の余韻がまだ身体の中にじんわりと残っています。あれは一体なんだったのか、またゆっくりと消化したいです。とても貴重な体験をさせてもらったのだなと感じています。

嵐のような一週間でした。そして同じく嵐のようだったこの一年もようやく終わりを迎えようとしています。

by onkichi-yu-chi | 2019-11-18 00:34 | おんきち | Comments(0)

展覧会の絵

展覧会の絵_d0077106_13433169.png
激闘146ページ。やっと終わった…

途中で何度もこれ終わるんだろうか…という不安に駆られましたが、ラベルの原曲へのリスペクトに溢れるオーケストレーションの巧みさ、なによりムソルグスキーの原曲の素晴らしさに助けられながらなんとか最後まで辿り着きました。しんどかったけど、楽しい仕事でした。展覧会の絵、本当に素晴らしい曲です。勿論言わずと知れた名曲ですし、聞いた事も数知れずです。でも実際に見てみるとこんなにスゴい曲だとは…譜面を見ながら身震いしたのは初めてかも知れません。
アレンジしながら何度もドビュッシーがムソルグスキーについて書いていた言葉が頭を過りました。

”私たちのうちにあるもっともよいものを、彼ほど優しく深みのある口調で話した者はいない。前例のないその芸術、ひからびたきまり文句のないその芸術によって、彼は独自だし、今度もまた独自であり続けるだろう。かってかくも洗練された感受性が、かくも単純な方法で翻訳されたためしはない。”

まだ譜面が出来ただけなんですけど、本当にいい勉強させてもらったなと思います。さて、問題はこれからなのですが…

by onkichi-yu-chi | 2019-09-28 13:42 | おんきち | Comments(0)


カタルーニャのギター音楽〜二回目_d0077106_11465775.jpg


"カタルーニャのギター音楽" 二回目が終了しました。有り難い事に多数のお客様にご来場頂けました。ありがとうございます。
先ずはこの企画を提案して頂いた、姫路市立美術館と市の方々に心より感謝申し上げます。これだけスペイン、しかもカタルーニャにこだわったプログラムは初めてで、困難もありましたが、クラシックギタリスト冥利に尽きる仕事でした。

タレガ、リョベート、アルベニス、グラナドス、同時代にたまたま傑出した才能が集まっていた訳ではなかったのでした。美術で、建築で、演劇で、様々な才能がバルセロナに集まり、試行錯誤、切磋琢磨するなかで時代を動かす大きな流れが生まれて来たのだと思います、上にあげたギタリスト、作曲家達もその大きな流れや時代の熱、あるいはその裏に生じた影を感じながら活動していたに違いありません。

今回なによりも嬉しかったことは展覧会にコンサートを聞きに来場した何人もの方から、”コンサートも良かったし、内容が展示にとてもマッチしていて、展示も楽しめた”と仰ってくれたことです。

私自身、それほど美術に詳しい訳ではないですが、今回の展示は非常に興味深く、また何度でも見に行きたい、また違う種類の展覧会にも行ってみたいと強く感じさせてくれるものでした。

こうやって、これまでは関心を持たなかった新しいものへの興味を持つ橋渡しになれたなら、これに勝る喜びはないです。
改めてご来場された皆様、ありがとうございました。

とりあえず、今年の前半の大きな仕事が終わってホッと一息ついていますが、秋頃からもまた忙しそうです。
一休みして、充電しながら秋への準備に入って行きたいと思います。


カタルーニャのギター音楽〜二回目_d0077106_11471014.jpg

by onkichi-yu-chi | 2019-08-04 11:48 | おんきち | Comments(0)

西播中学高校楽器講習会

西播中学高校楽器講習会_d0077106_15571799.jpg
西播中学高校楽器講習会_d0077106_15570820.jpg

5/25は西播中学高校楽器連盟の依頼で、姫路市のギターマンドリン部に所属するギターパートの新一年生の楽器指導に行ってきました。

楽器に触れてまだ一ヶ月の新入生を一日だけ教えるという事で、本当に基礎的な部分を少しだけでも教えられるかなと思っていたのですが、皆さん本当に優秀で、教えて一時間程で簡単なアンサンブルが出来るようになりました。やはりこの時期は乾いたスポンジの様にあっという間に吸収しますね。

この後、みんなで他のパートと合わせの練習。久しぶりにオケに乗って合奏を楽しみました。新しく指揮者になる2年生の指揮の指導もとても勉強になりました。

しかし一緒に行った子に
”なんでギターパートの子達をギター教室に勧誘しなかったんですか?”
と言われて、あ…しまった…
いや、とにかく有望な皆さんでこちらも大いに刺激を貰った一日でした。

by onkichi-yu-chi | 2019-05-26 15:54 | おんきち | Comments(0)


ストリングコンサート終了_d0077106_15332242.jpg

ストリングコンサート、無事に終了しました。今年は例年にない大人数(当社比)での参加、曲は合奏初心者にはちょっと厳しいと思いながらも、今年のメンバーならいけるかも…と背伸びをした選曲で、どうなるものかと直前まで不安でいっぱいでしたが、フタを開けてみるとメンバーが本番で一番の集中力を発揮してくれて、素晴らしい演奏をしてくれました。そして最後の全体合奏でも他団体と一体になって楽しい演奏を披露してくれました。準備は大変でしたが、その甲斐のあった素晴らしいコンサートになったと思います。参加されたみなさんお疲れさまでした。そして本当にありがとうございます。

そしてギター教室のメンバーで挑戦したブローウェルの動画です。映像を提供してくれた方がいて、吊りマイクで録音した音声を合成しました。本当にメンバーの皆さんが素晴らしい演奏をしてくれて、指揮をしながらこの瞬間がいつまでも続けばいいのにと思えた幸せな時間でした。

by onkichi-yu-chi | 2018-11-25 15:38 | おんきち | Comments(0)

全体合奏の合わせ練習

全体合奏の合わせ練習_d0077106_13405006.jpg
ストリングコンサートの全体合奏の練習に行ってきました。
バイオリン、ヴィオラ、チェロ、コンバスにヘルマンハープ、それにギター。

全体合奏用の編曲を担当していましたが、いざ合わせてみると、表記やスラーに抜けがあったり、こちらの勉強不足が露呈したりとまだまだやらないといけないことが沢山あるなあと改めて気付かされました。でも初めての合わせにも関わらずみなさん上手に演奏してくれたと思います。本番が楽しみです。

by onkichi-yu-chi | 2018-10-28 13:40 | おんきち | Comments(0)

2018 

2018 _d0077106_12355674.jpg
新年あけましておめでとうございます。
今年も宜しくお願いします。

長い間やりこんでいたJazz Solfegeが終了した!と思っていたら第二巻が出ていることを知ったのでこっちの練習も始めてみました。前作の発展的なやつでこれもやってて面白いです、やり応えありますね。

それだけじゃちょっと物足りないかなと思ったので、チャーリーパーカーオンギターっていう本も買ってみました。有名なジャズトランペット奏者チャーリーパーカーの演奏をギターで弾けるように採譜し直した労作です。実際はこれをギターで弾くのでなく、最初のテーマとアドリブ部分をソルフェージュで歌う練習用に使おうと思ってます。覚えたら弾けるようになるでしょう、多分。

最近、ジャズ関係の本ばっかり集めている気がします。アドリブは全然出来ないし、やろうとも思ってないんですけどね(笑)



by onkichi-yu-chi | 2018-01-11 12:41 | おんきち | Comments(0)

BWV998 fugue

BWV998 fugue_d0077106_10221048.png

明日のストリングコンサートで演奏する、"シャボン玉変奏曲"の最終変奏部分がフゲッタ(小さなフーガ)になっているのですが、それを指導したり指揮してたらふと思いついたので譜面を作成してみました。BWV998のフーガのスコアです。もともとソロで弾く曲なのですが、それぞれのパートを分離して三重奏のスコアにしてみました。これいつかみんなでアンサンブルで弾いたら面白いかも。

おっと、まだコンサート終わっていなかった。今日が最終練習日。明日が本番です。頑張ります!

by onkichi-yu-chi | 2017-11-17 10:26 | おんきち | Comments(0)

和声の歴史

和声の歴史_d0077106_12345491.jpg


かなり長い年数、本棚の肥やしだった本。ようやく読み終えた。


和声がまだ和声として認識されず、線と線の関係の中で副次的なものとして捉えられていた時代から、ルネサンス、バロックと通奏低音の発展とともに次第に縦が意識され整頓されていき、その中からラモーの理論が生まれ、縦と横を完璧に融和させ様々な技法を高度に操ったJ.Sバッハの誕生。古典期以降、理論が整備され急速な発展を遂げながら、それ故に急速に崩壊への道を辿る和声の歴史を作者の豊富な知識と熱っぽい語り口で読ませる名著。後半になるにつれてぐんぐんと引き込まれてあっという間に読み切ってしまった。


語り口が上手いのでなんだかわからないうちに読み切ってしまったけど、読み終わってから改めてもっと楽しむためにもう一度和声を勉強し直そうと思いました。古典期、特にハイドンやシューベルトの和声はしっかりと勉強したいです。


何もなくても読めるけれど、色々と譜例がのっているので、目の前にキーボード等があると捗ると思います。ページ数は150ページくらいですが、高密度な内容の良書です。



by onkichi-yu-chi | 2017-11-16 12:48 | おんきち | Comments(0)

姫路のギタリスト渡辺悠也のblog


by onkichi-yu-chi
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30