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ロンド風ガボットと十戒

バッハの音楽が数字と深く関係していることはよく知られています。最近はyoutubeなどでもバッハと数字の関係を詳しく解説している動画があって、見ているといろいろ勉強になります。


さて最近バッハのBWV1006aのロンド風ガボットを練習していたのですが、楽譜を見ていると実はこの曲も数字と深くつながっているのではないかと思うようになりました。具体的にいうとモーゼの十戒と。以下に仮説を上げていきます。

① 10×10 = 100

ロンド風ガボットの小節数を数えると丁度100になります。10 × 10 = 100なので、この数字は10に深く繋がっています。小節数の内訳を詳しく見ていくと
A(ロンド主題):8
Bパート:8
A:8
Cパート:16
A:8
Dパート:16
A:8
Eパート:20
A:8
の合計100小節です。ロンド主題に挟まれる部分は後半に行くほど長くなっていきますが、見ていて気になるのはEの部分の20小節というところです。それ以外は全て8の倍数になっているのに、なぜこのEパートだけが20小節なのかというのがずっと気になっていたのですが、小節数の合計を100にしようとしていたのなら納得がいきます。

② 十戒だから10回弾く

ロンド風ガボットの構成を見ると
ABACADAEA
のロンド形式になっていて、譜面上ではロンド主題が5回、その間が4個なのですが、最初のAの部分には繰り返しが入っているので実際演奏するとロンド主題を6回、その間を4回なので、ロンドとその間を合計10回演奏していることになります。

③ Gavotteでなく
このBWV1006のパルティータはかなり変わった特徴を持ってます。他の無伴奏バイオリンパルティータの1002と1004はアルマンド、クーラント、サラバンド、ブーレorジーグというバロックの典型的な組曲形式になっていますが(それでも1002では間にそれぞれドゥーブルが入ったり、1004ではシャコンヌという特大の曲が入ったりとそれぞれ特徴的ですが…)この組曲はアルマンド、クーラント、サラバンドは存在せず、壮大なプレリュードから始まり他の組曲ではお目にかからないルール、メヌエットそしてこのロンド風ガボットが入っています。特にこのロンド風ガボットという形式はバッハの曲の中で(私が知っている限り)この組曲にしかありません。なんでただのガボットでなくロンド形式になっているのかずっと疑問だったのですが。
十戒とバッハについて調べているとこんな記事がありました。



『クラヴィーア・ユーブング』第3巻「これぞ聖なる十戒」についての記事です。これもとても興味深いのでお時間がありましたら読んで見てください。

この中で”十戒の「戒」はドイツ語でGebot”というのを見てあっと思いました。ひょっとしてバッハは言葉遊びでGavotteとGebotを引っ掛けた?ガボットのロンドという意味と「戒」を繰り返す(つまり十戒)という二つの意味をタイトルにかけたんじゃないかなと。まあ完全な憶測になりますが。


ここまでも憶測ですが、以下はさらに憶測です。
ひょっとしたら楽曲の内容的にも十戒と関係してたら面白いですね。

十戒の内容は
第1戒「あなたには、わたしのほかに、ほかの神々があってはならない。」
第2戒「あなたは、自分のために、偶像を造ってはならない。」
第3戒「あなたは、あなたの神、主の御名を、みだりに唱えてはならない。」
第4戒「安息日を覚えて、これを聖なる日とせよ。」
第5戒「あなたの父と母を敬え。」
第6戒「殺してはならない。」
第7戒「姦淫してはならない。」
第8戒「盗んではならない。」
第9戒「あなたの隣人に対し、偽りの証言をしてはならない。」
第10戒「あなたの隣人の家を欲しがってはならない。」

第2戒の部分が丁度Aの繰り返しになってるのが面白いですね。「偶像を造ってはならない」が丁度コピー部分になる。それは1回目と同じようには弾いてはいけないという意味か、あるいはどう弾いても同じにはならないという意味なのか。
第5戒に当たる部分はCパート。ロンド主題に挟まれている部分で唯一長調になっている部分です。十戒を見ていると第4戒、第5戒以外は全て「〜するな」という否定形になっています。「あなたの父と母を敬え。」という心温まる部分だけが唯一長調になっているとしたら面白いですね。

全て憶測ですし、バッハの文法に精通していたらもっと色々わかるようになるのかもしれないですが。
こうやって色々と深読みできる余地が多く残されているのがバッハの音楽の魅力

by onkichi-yu-chi | 2024-08-21 14:07 | おんきち

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