写真に写らないもの
2024年 05月 03日
「日本100名城とか言っても、姫路城見た後だったらねえ…」というのは姫路民の常套句である。他にどんな城があろうとも姫路城に勝る城なし!というのが姫路市民の共通理解である。
私はというと中学から移り住んできたニワカであり、そんな事を言っている姫路の人の話を聞いてホンマかいな?と思ったこともあるけれど、その後、全国何箇所かで見た城と姫路城を比較してみると確かにズバ抜けた存在感がある城である。確かにこれは誇ってみてもいいのかも知れない。自分が作った訳でもなんでもないけれど。
久しぶりに姫路城を写真に撮ってみた。最近は姫路城でもなんでも良いなと思ったものの写真を撮るのがあまり好きではなくなってきた。カメラを構えた瞬間から「多分あかんだろうな…」と思い、撮った映像を見て「やっぱりか…」と思う。それだからダメなのかもしれないけど、なんだか全然感じたものが撮れていない。カメラはコンデジだし、そもそも撮り手の技量がないというのが大きいと思う、でもそれにしたってもうちょっと上手く撮れても良いんじゃないかな。
全然撮れない。
大きさが、雄大さが、威圧感が、開放感が、立体感が。
何も姫路城に限らず、良いと思ったものの良さが撮れた試しがない。その時に感じたことの1/10も写真は伝えてくれない気がする。だから最近は良いなと思ったものに遭遇した時はカメラに意識を向けず出来るだけ五感を研ぎ澄ませようと思う様になった。記憶は心と体に残る。
ふとグロンドーナが良く「線形(リニア)にするな。溶かしたらダメ」って言っていた事を思い出す。何を言ってるのかよく分からないなと思ってたけど、単純にこういう事を言っていたのかも知れない。演奏者がある、ギターがある、音楽があり、そして聴衆がいる。この空間をもっと大切に感じろ。ここは貴方が思っている以上に素晴らしいものがある空間なんだ。
ひょっとしてそんな事を言いたかったのかなと思ったある一日。
by onkichi-yu-chi
| 2024-05-03 12:17
| 雑記