”もっと”、”べき”、”ねばならない”という思考停止
2022年 03月 05日
レッスンで練習曲を弾いてきて、技術的には上手く弾けてるんだけど何か足りないなと思ったお話。
「上手く弾けてるけど、なんだか焦って聞こえるね。」
”うーん、ここはこうしようあそこはこうしないといけないって色々考えるんですけど、途中で思考がショートしちゃうんですよね。考えられなくなる…”
「え、きみそんな難しいこと考えながら弾いてたの?」
"あ、そうです。"
「でも、それは順番が逆じゃない?例えばきみが美味しいラーメンを食べたとしよう。」
”はい。”
「最初に感じるのは”美味い”じゃない?
これは出汁と調味料の割合が何たらかんたらでだから美味しく感じるべきなんて考えながらラーメン食べてるか?」
”いえ、食べてないです。”
「そうだろ、そんなこと考えてたらラーメンまずくなるだろ。最初に美味しいと感じて、その後にこれはこういう作り方してるから美味しくなるんかなと考えるのはいいと思うけど、まず最初に美味しいってことを伝えてほしい。感じたことを表現してほしい。順番が逆なんだ。」
”あー………”
「それとこうしないといけないとか考えてるって言ってたか?」
”はい。”
「アレキサンダーやってる時に聞いた言葉ですごく印象に残ってる言葉があって、アレキサンダーには三大禁止ワードがあるんだって。」
”なんですかそれ?”
「それは”もっと”、”べき”、”ねばならない”という三つ。」
”あー、ぼくそれだけで出来てますわ…”
「これ、例えばある一つのことをずっとやり続けたい時には便利な言葉なんだよね。例えばコンサートの前にもっと練習しないといけないとか。」
”そうですね。”
「うん、俺もコンサート前にはいつも思うよ。でもこれだけに囚われると練習自体が目的になっちゃってね。」
”はい”
「それで練習したら何かをやり遂げたような気がしてちょっと安心する。でも次の日にはまた焦る。そして練習する。そして本番になって気付く。何か大事なことが抜け落ちてるって。」
”はい”
「練習をする中で音楽の中に楽しみを見つけられなかったら、伝えたいものもないっていうことになってしまう。そういう罠に落ちやすいからこの言葉がよぎっているときは本当に注意が必要でね、実際にこれで本番になって何回も痛い目見たよ。」
”あー、そうなんですね。”
「鬼滅の刃見た?」
”はい、全部見ましたよ。”
「あれって全部が”もっと”、”べき”、”ねばならない”で出来てんだよね。」
”そうですね、戦闘中にもっともっともっと!とか考えろ考えろ考えろ!とか”
「男だったら前に進む以外の道はない!とかね。」
”そうですね。”
「きみの演奏中の心理状態は上弦の鬼と闘ってる炭治郎みたいになってるんちゃうか?」
”笑”
「そりゃ楽しそうには聞こえないよね。そういう曲じゃないからね。」
”はい。そうですね。”
「まー、つまり何が言いたかったのかというと。鬼滅の刃はアンチアレキサンダー漫画ということ。」
”え、それがオチですか?”
終わり。
by onkichi-yu-chi
| 2022-03-05 12:14
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