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渡部延男ギターリサイタル

美山音楽祭の主催者である渡部延男氏のギターリサイタルを聞きに京都のバロックザールホールに行ってきました。
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静閑な住宅街にポツンとある音楽ホール。写真には写ってませんが背後には紅葉を迎えた京都の美しい山々が広がっています。大きさも響きもギターを聞くのにピッタリな素晴らしいホール。
京都の上桂という場所にあるんですが、実はこの近くで産まれて幼少期を過ごしてたはずです。三歳ぐらいまでだったのであまり記憶が残ってませんが…

渡部延男ギターリサイタル_d0077106_043312.jpg

深紅のカッコいいプログラム。演奏者の渡部さんは今年60を迎えます。

将来を嘱望される若手ギタリストとして帰国後、原因不明の指の故障により演奏活動の中断を余儀なくされ20数年、手術により演奏が再開出来る様になって6年、ようやくここまで辿り着いたと仰っていましたがその道のりの厳しさは想像するに余りあります。

美山の音楽祭で一度、渡部さんに音楽を諦めようと思った事は無かったのか?と伺った事があります。仮に自分がそのような状況におかれた場合、間違いなく断念してしまうだろうと思ったからなのですが、渡部さんの答えは”一度も無い”という力強いものでした。

その音楽への情熱が美山の音楽祭になり、多くの若者を育て、そして演奏家として新しく生まれ変わる原動力となったのでした。

プログラム
Ⅰ.ルネサンスとバロックの音楽

ルイス・デ・ミラン  六つのパヴァーヌ
ジョン・ダウランド  ファンタジア
ジローラモ・フレスコバルディ  アリアと変奏
ヨハン・セバスティアン・バッハ  プレリュード・フーガ・アレグロ

休憩

Ⅱ.ソルを讃えて

フェルナンド・ソル  五つの小品
静けさ(カプリス)
ワルツ
マズルカ

ロンド

マヌエル・マリア・ポンセ  ソナタ・クラシカ(F・ソル讃)

Ⅲ.セファルディの歌

五月にばらは咲く
おいで、愛しいひと
さようなら、愛する人
ねんねんころり
美しい鳥(ことばあそび唄)
開けて!ぺっぴんさん。
お母さん、私、行くわ!
囚人船がやって来た!
雰囲気に恋しちゃった。


渡部さんが留学時代に師事していたオスカー・ギリアの影響を強く感じさせるプログラムです。
ところどころ傷はありましたが、長年弾いて温めてきたプログラムだけあって、強い意志と説得力を感じさせる演奏でした。前半のパヴァーヌ、アリアと変奏、後半のソルの小品集とセファルディの歌が特に良かったです。

特にソルはカプリス以外は聞いた事無かったのですが、どれもとても面白い作品でした。さっそく家に帰ってから楽譜を探して練習してます。

セファルディの歌もこれまた初めて聞きますが、前半のミランの様なシンプルさの中に深い喜びや悲しみが詰まった好演でした。ギターの伴奏はこれ以上ないというシンプルなものでしたが存在感は抜群で、とても勉強になりました。


渡部さんはイタリアでのキジアーナでの体験を元に日本でもあのような音楽祭を開けないかと思い立ち、美山で今まで四回もの音楽祭を主催してきました。私も受講生として音楽祭に参加してきましたが、そこでの濃密なレッスンや体験、仲間たちとの交流はとても得難い物でそれなしに今の自分は存在し得ないと言い切っても過言ではありません。自分の殻を打ち破る貴重な場を提供して頂き、いくら感謝してもし足りる事はありません。

その事に改めて感謝の念を送りつつ、この日演奏家として新しく生まれ変わった渡部さんの活動がこれからも末永くそして広く広く浸透していく事を祈念して止みません。
by onkichi-yu-chi | 2011-12-06 00:54 | おんきち

姫路のギタリスト渡辺悠也のblog


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