広島に行ったついでに長い間借りていたものを返しに行ってきました。ソルの練習曲集です。もう27年前くらいになるのかな。
今でも決して裕福ではないですが、当時は輪にかけてお金がなくて、広島までレッスンを受けに行ってその時のレッスン代が払えなくてまた次回持ってきます!とか言いながら帰る前に厚かましく先生にご飯を奢ってもらったりして…もう絵に描いたような貧乏学生でした。本当に徳武さんには頭が上がりません。
レッスンに使うソルの練習曲集も買うお金がなくて、当時誰も使っていなかった曲集をサークルの本棚から借りて使っていたのでした。いつか返そう、いつか返そうと思っていましたが。使い込んでボロボロ、何よりもう決して手放せない宝物になってしまったため新しく購入して持っていきました。
西条駅に着いてからもうずっと胸がドキドキしてました。
何十年ぶりかに訪問したサークル棟でしたけど、入った瞬間の空気感に一瞬で大学時代に引き戻されました。ああ、このちょっとカビ臭い感じ、全く変わってないなあ…
ボックスも同じ場所にあって安心しました。そしてこの雰囲気。やっぱ変わってない。タバコの吸い殻入れは無くなってちょっと清潔になってたかな。そしてみんなの連絡帳ペニーレイン… なんだか泣きそうになってしまいました。
当時のペニーレインは年に3〜4冊は使っていた気がしましたが、今の代のを読んでみると一冊使い切るのに3,4年かかってる感じ?やっぱり今はだいたいラインで済ませてるんだろうか。でもやっぱりみんなに愛されている感じは残ってます。
小一時間ほどかけて本を返しにきた経緯と現役生へのエールを書く。
みんな貴重な大学生活を、そしてギターを楽しんでと。
ペニーレインを書き終えて、そして練習曲集をその横に置いてサークル棟を出る。
ああ、やっと。ようやく…
広島大学に住んでいた人はわかると思うけど、本当に大学以外は何もないただの山の中でした。商業施設も当時は今よりさらにない。ひたすら続く山道。ただそんな山道が当時は何か宝物に通じている道に見えていたことを思い出しました。
この道を行けば、今まで見つからなかった何かが見つかる。
この道を行けば、今まで会えなかった素敵な人に会える。
そしていつかこの道から素敵な未来に繋がる。
ただの山道がそんな素敵な道に見えていました。
大学を離れるときは打ちのめされ、何も将来が見えない暗闇に放り出されたように打ちひしがれてました。結局どこにも繋がってないじゃないかと。ただの幻だった、錯覚だったと。
今となればその希望に溢れた夢のような時間も、その後の打ちひしがれた時間も絶望も、決して無駄なものではなかったと。幸運な今の自分はそう考えることが出来るようになりました。
みんなここに一時的に集まり、一瞬だけでも忘れ難いひと時を過ごして、そして旅立っていったんだなと。それが大学時代だったんだと。
やっと、ようやく、卒業できたような気がしました。
ありがとう。
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by onkichi-yu-chi
| 2023-09-21 12:57
| 雑記