大井浩明クラヴィコードリサイタルin芦屋

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この前の9/3の事ですが、芦屋の山村サロンにて行われた大井浩明クラヴィコードリサイタルに行ってきました。

大井さんの事は師匠の金谷幸三から紹介され、師匠の代りに行ってきた二年前の京都でのコンサートはちょっとしたカルチャーショックを与えてくれました。二台のチェンバロを行ったり来たりしながらバロックと現代の作品を縦横無尽に料理し、満場のお客さんの拍手にアンコールでネスカフェゴールドブレンドであっさりと答えあっけにとられたのを良く覚えています。

今回の会場の山村サロンは芦屋駅を降りてまさに徒歩三分、駅から陸橋でダイレクトに会場入り。まるで能の舞台のようなホールは大きさは小さめ、だけど音響はデッドでもなく響き過ぎでもなく。こんな会場が姫路駅近くにあればいいのに。

d0077106_1775223.jpgクラヴィコードは聞くのも見るのも初めてだけど、まずはその音量の小ささにビックリ「ちっちゃ!」、壁むこうのリハーサル室から聞こえてきた音かと思った、でも耳が馴れてくるとその小さな音量からは想像もつかない残響の深さ、表現力の多様さに驚かされる。これは今まで聞いてきた鍵盤楽器のイメージよりもずっとギターよりの響き、それも19世紀ギターとかテオルボの様な。それぞれの音が独立した響き、方向性を持ちながら、全体としては不思議に調和を形成するという特性は19世紀ギターにも共通するなんともいえない魅力です。普通のピアノなら多少のミスタッチでも鳴っているだろう音が「バスン」とまさにフレットを押さえ損ねた様な音をたてるとこもまさにギターです。親近感湧きます。

バッハがリュートのために書いたリュート組曲はリュートのためには余りにも難しくて(コユンババ調弦でハ短調、ホ長調弾こうってのがムリがある。)本当にリュートのために書かれたんか?というのはよく言われているけど、ひょっとしてこの楽器で作曲されたんじゃないかなと思った。いつかこれでリュート組曲全曲演奏会を開いて欲しいです、大丈夫です、それなりにお客さんは入ると思います、多分。

バッハ後期の24調を巡る旅。前半はちょっと心構えが足りなかったせいか心地よくうとうとしてしまうこともあったけれど、段々と耳が形式になじんできたのか、後半になるにつれてグイグイと引きつけられる。違う調に移る度にさて次はどんなことやってくれるのかと。

パンフレットにはお笑いと音楽の類似点について書かれているけれど、バッハのフーガってのは正にコントではないか。最初に主題が提示されそれを元にどんどん話を膨らます。大喜利に見せかけ、実は何度もリハーサルを繰り返している笑点みたいなやつもあれば、思いつきで適当に話し始めたものの収集がつかなくなり「チャンチャン」で無理矢理シメてみたり。

印象に残ったのは後半の変イ短調、聞いていて何処に行くのやら、なんだか気持悪くなった。あと変ロ長調は聞いていてBWV998「プレリュード・フーガ・アレグロ」を想起させられた、なんだか曲の展開や材料が似通ってる気がする。しかしピアノは初心者の段階で「インベンションとシンフォニア」とか「平均律」とかで多様な調やフーガの形式に親しめるのは羨ましい、ギターでやろうとしたらどうしても身構えてしまうし。でもあまりこの曲集を楽しそうにやってる人はお目にかけないなあ、これを子供に楽しませて弾かせるのは相当大変だとは思うけど。

演奏会後、大井さんが会場に現れ少し話をする機会を持ててその中で「最近若手のギタリストのバッハを聞いたけどあれはモダンの演奏だったね〜」との話をしたんだけど、それはモダン楽器での演奏だったからか、それともその表現がモダンだったのかなと(おそらく後者のほうでしょうが)と少し疑問に思いました。古楽だろうとモダンだろうと広島焼きだろうと食ってみておいしけりゃいいじゃんとつい思ってしまう、「古楽にも興味あります」と言ってしまいがちな者の一人としては、古楽とモダンとの決定的な違いが分からず、頭を捻り首をかしげ乍ら家路に着きました。ひょっとしてそういうところが首根っこを押さえつけられてこっち側にも窓があるということに気付かされた大井さんの留学の遺産なのだろうかな〜などと。

二回しか聞いた事はないけど、いつも考えさせてくれる大井さんの次のコンサートがとても楽しみです(チャンチャン)
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Commented by つっき at 2006-09-10 02:02 x
大井さんってなんか聞いた事あるなー。
チェンバロって音ちっちゃいのに、図体大きくて、そして結構軽くてリュートを鍵盤にしたよう感じで、ほーんとあれは不思議だわーー。
昔チェンバロ作っているおっちゃんに会ったことあるけど、ギターも作っているっていっていたなー。
古楽器の演奏法ってどんなんだろうね。アーノンクルなんかは、わかってんえんやろうなー。
そういえば、もうすぐしたら、アーノンクル京都に来るわ。
Commented by つっき at 2006-09-10 02:14 x
ちなみに、私のブログのコメント欄にさりげなく、このページ紹介してよい?美山のエピローグはだめだよな?
Commented by わたゆう at 2006-09-10 10:16 x
>つっき
よいよ。美山のにはそのうちに貼っとくよ。たぶん。
Commented by ooi_piano at 2006-10-14 09:01
御来聴有難う御座いました。いまトラバに気付きました。
言うまでも無く、使用楽器や表現方法がいわゆる「モダン式」であるかどうかと、その演奏の音楽内容には、本質的には関係ありません。例えば、先だって聞いた山下和仁氏23歳時のカナダでの《シャコンヌ》ライヴなど、ありとあらゆる意味で最高のバッハ演奏の一つだと思いました。ただし、モダン楽器を使ってモダン思考でバッハを素晴らしく闊達に演奏するためには、山下氏なみの天才ならびに熟成を必要とする、という点が不幸かつ遠回りである、という話です。
コーゾー氏に宜しくー。
Commented by わたゆう at 2006-11-18 14:27 x
コメントどうも有り難うございます。

しかし、このブログ二ヶ月以上放置してあって、コメントに気付いたのはつい最近という不始末。申し訳ありません。

最近、エリフスン聞いてます。面白いです、不協和音のうねりの中に確かにドラマが存在します、でも10分以上聞いていると耳がツライ・・・
これは演奏者は辛くないのだろうか・・・
by onkichi-yu-chi | 2006-09-07 18:11 | おんきち | Comments(5)

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