北口功 ギターリサイタル

d0077106_745243.jpg

2/7に茨木市生涯学習センター内にあるきらめきホールで行われたギタリスト北口功氏のコンサートを聴きに行ってきました。このホールで4年連続(しかも無料で!)で行われているコンサートと聞いていましたが、実際に聞きに行くのは初めてでした。


今回はサントス・エルナンデスとドミンゴ・エステソという二台の歴史的な銘器を前半と後半に分けて使いわけるという贅沢なコンサート。今回のコンサートのためにわざわざ茨城の(茨木ではなく)ギター文化館からこの銘器を保険をかけてまで借りて臨んだとの事で氏のこのコンサートに向ける意気込みの強さが伺えます。


当日のプログラム
ソル/第七幻想曲
シューベルト/セレナーデ(メルツ編)
バッハ/テンポ・ディ・ボレアとドゥーブル
(無伴奏バイオリンのためのパルティータ第一番より)
ヴィラロボス/プレリュード第一番
武満徹(編曲)/「12の歌・地球は歌っている」より
早春賦、ロンドンデリーの歌

休憩

タレガ/アデリータ、涙
アルベニス/アストゥリアス
ポンセ/南のソナチネ
(田園/唄/祭り)
シューマン/まどろみの歌(タレガ編曲)
バリオス/森に夢みる
アルベニス/セビーリャ(リョベート編曲)

アンコール
シューマン/トロイメライ(バリオス編曲)
バリオス/ディノーラ



バラエティに富んだプログラムですが、第七幻想曲や、バッハ、アルベニスやポンセといった曲は入っているものの、パッと見た感じでは小品を中心にしたプログラムにも見えます。これだと少し食い足りないかな・・・などとプログラムを見た時には不遜にもそんなことを思ったりしたのですが、そんなことは全くなかったです。


どんな小品でも細部まで磨きをかけた美音で丁寧にしっかりと歌い上げてくるので一つ一つの作品が想像以上にボリュームがあり、コンサート終了時にはすっかり満腹になりました。技術的には比較的簡単に思われるタレガの小品集などもマスターピースとしてコンサートのプログラムにしっかりと納まっていたのが凄い。弾く事も聞く事も多い曲ですが、ああいう演奏にはなかなか巡り会えるものではないです。


ギターの性格の違いを活かした選曲も見事でした。前半のサントスは重厚でなおかつバランスを伴った響きでソルやバッハの対位法や武満のギターを共鳴させる独特の音響世界を見事に支え、後半のエステソは華やかな高音でスペインの香りのする作品群のカラーにこちらも上手くフィットしていました。


個人的に特に良かったな、と思ったのが前半のバッハと後半のアストゥーリアス。バッハは暴風雨の様な音の洪水の中からしっかりとポリフォニーとそれに伴うポリリズムが浮き上がってきてまるで現代の複雑なミニマルミュージックを聞いているようでカッコ良かったです。アストゥーリアスはよく弾かれている編曲とは異なり(自編かな?)音数を減らして少しドライにも感じる表情の中からしっかりとサパテアートの靴の響きが鳴り響くような好演でした。どちらの曲も銘器の響きに甘える事なくしっかりと曲の構造を浮き彫りにしようとする演奏者の姿勢が印象的でした。


音楽祭などで何度か顔を合わせる機会があり、その度にお話をうかがう機会があり色々とアドバイスを聞いたりしているのですが、あまり多くを語らず寡黙な方という印象があります。ただ一つ一つ吟味して丁寧に分かりやすく伝えようとしてくれるので非常に重みのある言葉となって心の中に残っています。今回のコンサートも人にも音楽にも誠実に接しようとする氏の人柄が良く伝わる素晴しいコンサートでした。


エネルギー頂きました。ありがとうございました。
[PR]
by onkichi-yu-chi | 2010-02-08 08:12 | おんきち | Comments(0)

姫路のギタリスト渡辺悠也のblog


by onkichi-yu-chi
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31